イメージフォーラム・フェスティバル(5月4日、新宿)と映画「船、山にのぼる」(5月5日、小岩メイシネマ映画祭)

5月4日は新宿でイメージフォーラムフェスティバル。
栗原みえさんの作品、よいです。日記映画。
そして伊藤隆介さんのインスタレーション。今年もすばらしい。
映像作品でありながらちっとも映像的ではない(イメージを喚起しない)作品がある中で、伊藤さんの作品は映像の本質をついている。映像史の事件といってもいい出来事から引用しているので懐古的作品として捉えてしまう人もいるかもしれないけど、そうではない。ユーモアとアイロニー、綿密な設計にゆるやかな遊び。今ここにないものを見せてしまう機械運動。

夜、中島崇さんと生西康典さんとさくら水産でかるく一杯。中島さん、しっかりよく見ている。今年、僕はイメージフォーラム・フェスティバルを見れなかったので、いろいろ教えてもらう。ま、見ないと話にならないけどさ。でもかなり参考になります。中島さん、生西さんと僕という組み合わせがかなり変。生西さんの企画で7月に伊藤隆介さんと大友良英さんのイベントをやるらしい。六本木のスーパーデラックス。これは絶対に行かなければ。しかし、生西さんっておもしろい人です。
中島さんと生西さんが、鈴木志郎康さんのことを話していたので、気になってインターネットを見ていたらブログを発見。

http://www.haizara.net/~shimirin/nuc/shirouyasu.php/

うむむ。鈴木さんって今何歳だよ?すごいなもう。


5月5日は小岩で映画「船、山にのぼる」を見る。渋谷で見ようと思っていたのに見逃してしまった作品。
これはいい作品でした。映画としてもいいし、プロジェクトがすごい。広島県の灰塚ダム建設によって水に沈んでしまう村を舞台に、アーティストユニット「PHスタジオ」がしかけるプロジェクトとは、沈んでしまう森の木を引越しさせるというもの。伐採した木で船を造り、ダムが完成してその船が浮かぶ。ダムいっぱいまで水をいれて船を引張り、山の上に移動させ、水位が下がると山に船が乗っかって引越しが終わるというもの。もちろん森がそこで再生されるわけではない。引越しするのは森の思い出、記憶。言い方を変えれば森の死体だ。でも、すごい。ダムを作ることで何が失われるのかを可視化する。そして地域の人たちは…。結局、この映画を見たおかげで僕は灰塚ダムを見に行く気になっている。ダムを作るということはどういうことなのか。地域がなくなるとはどういうことなのか。映画を見てもわかることはほんの少しだろうし、そこに行ったからといって何かがわかるとは限らない。でも、行くべき場所が増えるというのは幸せなこと。うれしいこと。プロジェクトに12年かけたPHスタジオはすごい。地域の人にとってもよかったと思う。もちろん現実には大変なことがたくさんあったと推測できるが、それがなかったらおかしいし、だからこそプロジェクトの意義がある。船を造っている映像もいいけど、船を造る場所に作業のベースとなる小屋を建てているところがすごくよかった。やっぱ基地づくりが基本ですよね。

http://www.fune-yama.com/

今は関西で上映しています。たくさんの人に見てもらえるといいなぁ。9月にまた東京で上映があるそうです。

ちなみに小岩の上映はメイシネマ祭といって地元の人が毎年独自にやっている上映会のようですごくいい雰囲気。

http://homepage2.nifty.com/creatoise/maycinema/

予算はあまりなさそうだけど、志はすごく高い。主催者に動機があります。今年は他にもやることがあってこの一本しか見れなかったけど、また来たい映画祭でした。メイシネマのみなさんのおかげでいい映画を見れました。ありがとうございます。