僕はなにもわかっていない。

1か月半前、横浜の黄金町で淺井裕介君と狩野哲郎君の展覧会を手伝った後、一緒にご飯を食べたりお酒を飲んだりしながらYouTubeで音楽の映像を見ていた。淺井君が教えてくれた友部正人の映像がこれ。

誰かが亡くなったお悔やみの会で友部さんが歌っている。友部さんの歌がとてもいい。そして、ものすごくいい映像。でも、見知らぬ人の追悼の映像を見ているのはどこかいけないことでもあるような気もした。だけど、すごくいい歌、とてもいい映像で、それからも何度か見ていた。
そして昨日、なんとなくまたその映像を見ていたら、そこで追悼されている人、亡くなった岡田昌さんに会ったことがあるのに気がついた。しかも淺井君も一緒だった。会ったというのも変だけど。2007年5月にスーパーデラックスで、音楽があがた森魚さんたち、映像がかわなかのぶひろさんたちというイベントがあった。辻直之君や淺井君と一緒に僕は美術をしていた。そこで踊ったダンサーの一人が歌舞伎昌三こと岡田昌さんだったのだ。
http://www.kabukimasazo.net/profile.htm
驚いた。僕はなにも、なにもわかっていなかった。岡田さんのプロフィールにスーパーデラックスの夜のことも書いてある。岡田さんがガンなのは有名なことだったらしい。岡田さんの病気のことをかわなかさんが話していたのも覚えている。
あの日、淺井君は壁にマスキングテープを貼って植物を描いていたけど、途中で岡田さんの体にも絵を描いきはじめた。予定にはない、即興的なやりとりが生まれたのを照明をいじっていた僕は正面から見つめていた。
スーパーデラックスのイベントに参加したことも、展覧会の会期中に淺井君とYouTubeであの映像を見たのもいいことだったと思う。偶然といえばそれまでだけど、こういうことに何か真実のようなものがあるような気がする。
いつか、岡田さんが店主をしていたという「月の庭」にも行ってみたい。どんな気持ちになるかわからないけど、ただ何も考えずに行けばいいんだと思う。そういうことだよね。
年末に、不思議な発見でした。みなさん、よいお年を!