桜島での読書

桜島滞在も3日目。桜島においてある蔵書(管巻三十郎文庫)の一部を川崎のアパートに移動しようと思っていたのだがあきらめる。整理するのも3日間では無理。ヤマトの単身者用の引越し便を頼んでいたのだがキャンセル。大事な本だけをと思っていたけど、川崎のアパートも仮の棲み家としか思えないから、苦労してお金をかけて移動するのがバカらしくなってきたのだ。
本をもっと有効に利用できるシステムを作りたい。図書館とか古本屋は、すでに完成されたシステムといっていいだろう。もちろん社会環境や経済状況は常に変化しているわけだから、それに対応するためにシステムも改良の余地はある。だけど、そういうことはすでにその道に足をつっこんだ専門家の方におまかせして、僕としては何か新しい本の使い方を模索したい。
今、桜島にある管巻三十郎文庫はどれくらいの人に読まれているかというと、それほど多くはないと思うけど、利用者数といった数字以上に場所の空気を作るのに力を発揮していると思う。なんといっても藤浩志さんが作ってくれた本棚がすごい。
http://geco.exblog.jp/5875664/
昨年、桜島の元旅館だった場所を会場にして行われたアート・プロジェクトで、藤さんが僕の蔵書(管巻三十郎というのは僕の筆名)と旅館に遺されたテーブルなどの廃材を素材にして作ったのが管巻三十郎文庫。テーブルが積み上がって本棚になっている。関係していていうのもなんだが、かなりカッコいい本棚。しかもオシャレなインテリアというわけでもなくて、興味をもった人は自分から本を手にとって、ロビーのソファで本をめくっている状況にはなっている。しばらくはこのままでいいかな…と。ただし、ここがいつまで使えるか分からないところが問題で…。
どこかでうまく使える場所があれば、そこに管巻三十郎文庫を移動したい。人が訪れ、何かをアイデアを探したり、誰かと話したり、お茶やコーヒーを飲み、何かを作ったりもできる場所。図書館のように目的のある場所ではなくて、フレキシブルでオープンな場所にそれなりの量の本があれば、かなりおもしろい状況になるだろう。
ということで、大事な本だけは別の部屋に保管することにして、川崎に移動するのは中止。波の音を聞きながら、深夜まで読書。
島で読む本は、言葉がしっとりと頭に染み入るような気がする。いくつもの本をパラパラと、数ページあれを読んではこれを読むというとりとめがない読書と、中篇程度のそれなりの長さのものをじっくり読む、その繰り返し。短い、短い、短い、長い、短い、短い…、という読書のリズムを反復していると、本が島に届いた遠くからの便りのような気がしてくる。それぞれは世界の断片でしかないけれど、それらを行ったり来たりすることによって、大きな広がりのある世界像を意識することができるのだ。
エドガー・ポーと大竹昭子という組み合わせについて考える。

BO-SAI 2008 in 豊洲

縁があって8月29日(金)〜31日(日)に東京の豊洲で行われる防災イベント「BO-SAI 2008 in 豊洲」のお手伝いをすることになりました。というと、なんか重要な役割みたいに思う人がいると困るので断っておくと、本当にただの手伝いです。展示の監視とか、そんなのをお手伝いします。僕の場合、手伝いという名のやじ馬、ただの賑やかかし、そんな感じ。
http://www.plus-arts.net/bo-sai08/
今年の1月に神戸で行われた「防災EXPO」で藤浩志さんが参加していたこともあって、このときもほんの少しだけお手伝いをしました。今回も神戸と同じでプラス・アーツが関わっている企画です。
で、それはそれとして、久しぶりに自分が在籍する学校のサイトを見ると、新領域創造専攻安全学系の藤賀雅人君(M1つまり僕の同級生)が日本建築学会の2008年優秀卒業論文賞を受賞したことを知った。面識のない同級生、藤賀君の卒論は「震災復興まちづくり模擬訓練プログラムに関する研究」というもの。おお、そういう人がいてもおかしくないよね安全学!
DC系だけではなく、新領域創造専攻全体、あるいは明治大学全体に目を向けていろんな可能性を見つけたいと思う今日このごろでした。DC系の宮下先生だったら、震災時にデジタルで何ができるのか、なんていう設定でも、クリエイティブでたのしいアイデアを出してくる気がする。系を横断して、いろんな人とネットワークができるといいな、と思う今日このごろでした。
学校の話はともかく、防災は大切です。当たり前か。東京で地震があったら…なんて考えると眠れませんが、まずは豊洲に遊びに来てください。