アフンルパルex.露口啓二写真展

露口啓二さんという写真家の展覧会が札幌で開催されます。
露口さんの写真行為をひとことで説明するのは無理な話ですが、
ここでは、「土地の歴史と制度に目を向け、土地の記憶と表情を見ようとする写真家」とだけ書いておきましょう。

展覧会を記念して印刷物が制作され、DC系の管啓次郎先生、倉石信乃先生、そして何故か僕の原稿が掲載されます。
http://diary.camenosima.com/?eid=1153597#sequel
これを制作している書肆吉成の吉成秀夫さん、若いのにすごい人です。
まっすぐです。吉成さんを見ていると、せこせこ小さなことで右往左往している自分が恥ずかしくなります。
結局、僕の文章は無駄が多くて、いい足りないことばかり。
露口さんと吉成さんに申し訳ないです。
とにかく露口さんの写真を見てほしい。
「私」という個が決して孤立しているのではなく、大きな連続する時間に生きているのがわかります。
いくつもの重要な問題を提起する作品です。

以下、吉成さんのブログから展覧会詳細を転載させていただきます。

アフンルパルex.露口啓二写真展
2008年8月11日(月)-8月18日(月)
060-0033札幌市中央区北3条東5丁目5岩佐ビル2F
TEL011-281-5805(フレメン写真製作所)

◆オープニングイベント
2008年8月11日 18:30スタート
060-0033札幌市中央区北3条東5丁目5岩佐ビル2F
▼LIVE
 マリリア(ヴォーカリスト
▼対談
 露口啓二×倉石信乃
▼その他
 軽飲食つき
▼会費
 カンパ制

◆アフンルパル通信ex.1「特集:露口啓二」発売
オリジナルプリントサイン入り限定版150部(三種類各50部)
・最新写真作品四葉掲載
・執筆:管啓次郎倉石信乃谷口雅春・宇野澤昌樹
・装幀:佐藤守功デザイン室
B3判無綴じ四つ折丁
限定版イベント特別価格1,000円

お問合せは、書肆吉成(080の1860の1085)まで。

露口啓二氏の写真はアフンルパル通信iii号でもご覧になれます。
写真は、この世界の光を感じて像を写す。
レンズに写る世界、網膜に焼きつく世界、目に見えているはずの世界。
しかしながら、世界のテクスチャーやイメージは、本当にそのままの姿で見えているのか?
じっさい見えているようで、見えていない。見えない。見ない。
一つのものを見ているときでも、無数のイメージが重なって見えていることもある。
目は未開の耕地、ならば、その耕地をどう開拓しようか。
どんな目で、世界を見えようか。
どんな目で、写真を見えようか。
どんな目が、そこに重なって見えていようか。
世界がカメラに撮られて、フィルムに乗って移動して、新たな場所を得る、人の目に映る。
光景が移動するだなんて、なんていう奇跡。なんていう旅!
写真という制度に限界付けられ、圧縮変異された世界と
目と意識(言葉)という制度に限界付けられ、圧縮変異された世界とで、
じっさいの世界そのものは、世界じゃなくなっている。
もうそんな当たり前な世界じゃない世界を見ている。それはなんて不安なことだろう。そしてなんてステキなことだろう。
いま見えてる世界をシャッターで二つにカチ割ったら、なかからどんなもんがでてくると思いますか。世界のすっごい奥に眠る古層がいきなり露出してはきませんか。古代の太古の割れ目から世界がめくり上がって裏返しにひっくり返りはしませんか。イメージの大洪水がおきて世界は小舟のようではありませんか。
瞬間、そんなことを幻視して、はっと我に返ると、
露口さんの写真はやっぱり静謐に、あいかわらず凛として風景で、光景で、そんな一瞬のゆらめきに眩暈がしそうだ。