淺井裕介君と蠣崎誓ちゃんの結婚パーティー

淺井裕介君と蠣崎誓ちゃんの結婚パーティーでスピーチをしてきました。主役を張れるアーティストがゴロゴロいる前でスピーチは荷が重かったけど、無事に終わりました。結局、事前に原稿はできずにアドリブで話した。言おうと思っていたのに、言い忘れたことはあるけどしかたがない。とにかく疲れました。でもたのしかった。淺井君、誓ちゃん、本当におめでとう。
淺井君と初めて会ったのは、横浜だった。2006年だと思う。僕が企画した藤さんの映像上映会を見に来てくれた。会場があったビルの上の階に淺井君はアトリエを借りていたので、上映会の後、絵を見せてくれた。小さな男の子が宝物を見せてくれるような淺井君の表情をよく覚えている。
誓ちゃんとはもっと古い仲間。9年くらい前から高円寺界隈でよく遊んでいた。5年前に、誓ちゃんが自分が住んでいたアパートの一室で週に一日だけ自宅カフェを始めた。その名も、ちかいカフェ。僕もスタッフにしてもらって、みんなとわいわい、たのしくやっていた。最初はままごとみたいな遊びだった。客よりもスタッフのが多くて、お客さんの話をどんどん聞き出して、無理やり仲良くなったりしてた。そもそもボロいアパートの一室なので、だれもカフェがあるなんて思わないからなかなかお客さんが来ないのだ。何故だかそのうち有名になってしまい雑誌が取材しに来たりして、お客さんも増え、狭い部屋に20人以上のお客さんが入り、役立たずな僕は公園で時間をつぶしたりしていた。とにかく、仲間と毎週一回会うのがたのしかった。
あのころは、そういう日が貴重なものだとは気がついていなかった。ただ、むさぼるようにバカなことばかり話して、くだらないことを繰り返していた。
そのうち、ちかいカフェもいろんなことがあって自宅カフェではなくなり、いろんなところに出張する出張カフェになった。どこかで誓ちゃんと淺井君が出会い、横浜で淺井君の展覧会会期中にカフェをしたり、僕が引越した桜島のプロジェクトでも、ふたりで来てくれた。最初は冗談みたいな遊びだったカフェの仲間とそんなことができるとは思ってもみなかった。
誓ちゃんはいつでもみんなをもてなそうとする。おいしいパンを焼いてカフェの準備をする。丁寧にコーヒーを入れてくれる。知らないところで、初めて会う人と話すのがたのしそうだ。
淺井君は、気がつくとペンをもって自分の体や服に絵を描いている。手を動かしている時間が圧倒的に長い。何も考えずに手を動かしているときもあれば、手を動かしながら何かを考えているときもあるようだ。とにかくマジックをもって、いつも動物や植物を描いている。完成するような絵ではなく、どこまでも変化し続ける絵だ。
ふたりが僕らに差し出してくれるのは、作品でもなければ商品でもない。疑う必要のないもの、信用できるもの。コーヒーを飲んで話をすればたのしくなるよ、マジック一本でも絵を描いていればたのしいよ、そんな無言のメッセージ。心をこめた仕事に遊び心をたっぷり入れて、世界をおもしろくしてくれる。つまらなく生きている僕を励ましてくれる。ありがとう、ありがとう。
淺井君の絵は土地との結びつきが強い。淺井君が僕の知らない街で絵を描いていると思うと、行ってみたくなる。遠く離れた場所のことを想像して元気になる。弱っていた心が真っすぐになる。
そして、誓ちゃん。変わらないことなんてないと人は言うよね。ちかいカフェも変わった。みんなが住む場所もそれぞれ変わった。いろんなことがあった。でも、ちかいカフェのメンバーの心は変わってないよ!
今日はおめでたい日。みんなが、とてもたのしそうだった。おめでたい気持ちを、みんなに気前よくわけてくれてありがとう。でも、おめでたいのは今日だけじゃない。今までもたのしい日々だった。おめでたい毎日だった。世界チャンピョン級の圧倒的におめでたいふたりが結婚した。これからもずっとずっと、おめでたく生きよう。本当におめでとうございます。
陽光君のスピーチもよかった。ああいうやつはうらやましい。ホソイヒロコの踊りは最高。僕にとっては一番リアルなダンサー。ちかいカフェのパティシエが作った衣装もすばらしいできでした。遠藤一郎君の応援はいつも以上に力が入ってました。
僕が尊敬する人たちに数え切れないくらいたくさん会えたのは望外の喜び。緊張しました。
とにかくおめでたい一日が終わった。みんな、おめでとう。淺井君、誓ちゃん、おめでとう。