『芸術の設計』(岡崎乾二郎編著)を読む

コンテンツ批評特論で『芸術の設計』の冒頭の部分を読んでレジュメを作り、概要を発表する。この本、とても面白いのだが、僕と大塚さんが担当した冒頭の部分は内容の要約が難しい。
広義の芸術を含めた、人間の創造行為について技術の伝承とその記譜方法(ノーテーション)に注目するという内容。技術の伝承は、行為全体を細かな部分に分節化し、ひとつひとつをわかりやすい要素にしてから、その分節がどのように組み合わされているのか、その構造を明らかにすることによって成立する。簡単にいうとそんな話なんだけど、それをコンピュータのアプリケーションやプログラミングの問題として考えるのがおもしろくて、しかも説明しにくいところ。
こうして書いてみて、僕は作ったレジュメを読むことに必死になって、岡崎乾二郎のロジックの構造はちっとも説明していなかったことに気がつく。まさに全体をなぞるだけで、構造を明らかにしないから、どれだけ話しても空回りな感があった。
それに当たり前だけどやっぱり人前で話すのは難しい。
でも、とにかく刺激的な本です。記譜によって生成プロセス、創作プロセスの秘密を明らかにしていき、再生産、再創造に向かっていく。世界を更新する意思に満ちた、希望を予感させる本。