管啓次郎と須賀敦子 5月18日(日)日経新聞

管啓次郎先生の原稿が掲載されているということなので5月18日(日)の日経新聞を買ってみた。
管先生のエッセイ、とてもおもしろい。チリの海外領でポリネシアに浮かぶ島ラパ・ヌイ、英語名イースター島に行った旅の話。ラパ・ヌイにあるラノ・カウという火山を見た鮮烈な体験を綴っている。これは図書館で読んでみてください。
で、日経の話です。日経新聞を読むのは久し振りだけど、この日はよかった。内容充実。
管先生のエッセイが最終36面、そして24面に須賀敦子さん(故人、作家、イタリア文学)についての小さな記事が。おお!スガつながりじゃないですか!
単なる偶然の組み合わせも翻訳文学を読む人間にとって「管啓次郎」と「須賀敦子」という名前は特別な意味をもつ。言葉を綴ることを試みた、試みる人。行動が思考に結びつき、思考が実践される、試み、試され、鍛えられる。散文の歩行はどこまでも散らばる、歩みが続く、遠くへ旅をする。そして翻訳。他者の言語による豊かな成果に敬意を払い、僕たちの言語に移しかえ、差し出してくれた人。その行為は明確な意志によって成される世界の更新。なんの打算もない、とびきりオープンで気前のいいプレゼント。僕らは本を買って読めばいい。財布の中身が乏しければ図書館に行って本を借りる。そこには世界の希望が示されている。少しも大げさではない。本当に。
須賀敦子さんの教えを受けた方が二人登場する。小さな記事だからちょっとだけしか情報はない。でも須賀敦子さんに学んだ人がいるというだけで僕たちの世界は豊かになっている。人から人に受け渡される無形の果実。二人とも50歳。管先生と同い年。偶然だけど、世の中には嬉しい偶然というものがある。須賀敦子さんが訳したアントニオ・タブッキの小説を読み返したい。
25面には渋谷の松濤美術館で開催中の中西夏之展の記事、18−19面にはゴッホの南仏アルル時代のエピソードが紹介されている。中西夏之展はもうすぐ終わりだが、見たい展覧会のひとつ。かなり気になる。というわけで、この日の日経新聞は充実してました。ぜひ図書館でご一読を!