旅の読書(石山修武関係)

18きっぷの旅なので本がよく読める。世田谷美術館石山修武展を見てメチャクチャおもしろかったので、札幌への旅は石山修武関係の本を3冊もって出た。そのうち2冊をサクサクっと読了。旅はいいね。

石山修武 考える、動く、建築が変わる』(TOTO出版)は芹沢高志さんが石山さんにインタビューした本。読みやすくておもしろい。そしてところどころに石山の短いテキストも挿入されている。中でも川合健二についての論考はやはりおもしろい。

 川合をひと言で要約すれば、彼はエネルギー保存の法則主義者であった。バックミンスター・フラーがあらゆる事象をテトラ構造で説明できたように、川合はあらゆる事象を熱力学の法則で説明することができた。日々の天候の変化も川合は熱力学で説明した。彼にとって地球は一種のボイラーであった。
 川合のドラム缶の家で過ごしていたときに、時々鉄板が異様な音を立てて鳴ったことがある。「今、寒冷前線が通り過ぎているんだ」と川合は鉄の洞穴の中で空を見上げて言った。

驚愕した。なんて映像的な言葉。石山も「空にギザギザの寒冷前線マークが動くのを幻視」したそうだ。

もう一冊は『高山建築学校伝説』(鹿島出版会)。これは石山さんの著書ではなくて、高山建築学校という建築のサマースクール(というような簡単なものではないのだが)の本。現在も継続するこの学校の初期10年くらい石山修武は関わっている。とにかく実験的。大学では建築を教えることはできないという理由から、法政大学の建築学科の倉田先生(故人)という方が私費を投入し始めたそうです。
石山さんが教えていた時期とはズレているようだが、岡画廊の岡さんも高山建築学校のOBのようで、川合健二←→石山修武←→高山建築学校←→岡啓輔←→小川てつオ、というセルフビルド、DIY系カルチャーのラインがビシッと見えた。建築のことを知っている人には常識なのかもしれないが、僕はまったく知りませんでした。うーむ、なるほど。この学校はたしかにおもしろそうです。この本もおもしろすぎる。