『ラディカル・オーラル・ヒストリー』を読みたい。そして…

石川直樹さんがトークでお薦めしていた保苅実さんの本を、図書館で取り寄せようと思ってパソコンのキーボードを叩いていたら、保苅さんが32歳の若さで亡くなったことを知った。
http://www.hokariminoru.org/j/index-j.html
すでにお亡くなりになった方ということは、石川さんの話にあったが32歳の若さとは。驚いた。しかも保苅さんは1971年生まれ。僕より1年早く生まれただけだ。石川さんが強く推していた『ラディカル・オーラル・ヒストリー』は、ぜひ読んでみたい。
実は、明日、友人の墓参りに行く。20代半ばにして亡くなったその人は、旅が好きだった。あまり日本にいない人だったし、亡くなる前の3年くらいはときどき会うだけだった。でも、彼が見てきたものや考えていることを話してくれると、行ったこともない遠い土地のできごとも共有できるような気がした。しばらく顔をあわせないでいると突然、訃報が届いた。それから、僕はずいぶん歳をとって、今ではもう中年といっていい年齢だ。だけど、まだ何も見ていない、何も書いていない、どこにも行ってない。
誰もが死ぬのだから、死をそんなに特別に考える必要はないのかもしれないけれど、自分の成果のなさに目をむけるとうんざりする。でも、それも確かな現実だから認めなくてはならない。
保苅さんの本を読んだら、オーストラリアに行きたくなるだろうという予感がある。僕以外の人の過去の歩み、その歩行に寄り添うような読書。そして、誰かの足跡を辿る、読書のような旅。そこでは、また別の人たちとのさまざまな出会いがあるだろう。結局、どんな本も本当に読み終わることはない。どんな場所もすべてを把握することはできない。だから、世界の記述が少しでも増えたほうがいい。僕も今年は書きます。