冨井大裕+中西信洋展(gallery αM)

馬喰町に移転した武蔵野美術大学のギャラリーαMで中西信洋君の作品が展示されているのでオープニング・トークに行ってきました。
http://www.musabi.ac.jp/gallery/kari/
変成態という連続シリーズで、1回目が中原浩大さん。2回目が今の展示で中西君と冨井大裕さんの二人展。豊田市美術館の天野さんがキュレーションしています。
中西君の作品もいいけど、冨井さんも作品がおもしろかった。物質を即物的に扱っているところが好き。画鋲とか、エアキャップとかを使っている。モノを組み合わせたり、手をいれて作品化しているのだけれど、モノに還元できてしまう作品のつくりかたをしている。壁に画鋲を留めていくのを繰り返すことによってできる作品など、壁から外せばただの画鋲になる。だけど、インスタレーションとしてというより作品化にこだわっているのもよくわかる。今回は展示されていなかったが、もらった資料に、食器を洗うのに使うスポンジを組み合わせた作品があった。これなんかも、バラバラにすればただのスポンジである。モノから受ける印象を大事にしているそうで、接着剤とかを使ってしまうと、そのモノの印象や条件が変わってしまうという冨井さんの話がおもしろかった。作品で話がすんでしまうような作品には興味がもてない僕が、作品にすることにこだわっている冨井さんの作品に興味をもつのは、なんだか不思議だった。けど、とにかくおもしろいです。
中西君の作品では、レイヤー・ドローイングの新しいバージョンが収穫でした。
それにしても。1回目の中原浩大さんの展示を見れなかったことが悔やまれる。もうちょっと時間をうまく使わないと…。でも、浩大さんのとき、たぶん一番元気がなかったころなんだよね。はぁ…。
まぁ、でも、まわりの展示とかイベントはあんまり気にしないで、自分たちの企画で何かやりたい。もちろんやりたくないことは、もうしません。浩大さんの作品とか、やりたくないと作れないものだと本当に思う。動機がなかったら、あんなわけのわからんものはできない。で、わけがわからないけど、結局は動機があるものが一番説得力があるという当たり前の話になる。動機がなくてやっていることなんて、どっかで見たものができあがって、「で、なんなの?」って言われるに決まっているんだから。
中西君も言っていることはときどきよくわからなかったりするけど、動機に忠実に、真面目に取り組んでいるので僕は尊敬してます。
うーん、でもアート業界というフレームにはまったく興味がないので、こっちではもっとおもしろ現場をつくりたいなー。だって、アートを知らない人が見ても冨井さんの作品も中西君の作品もおもしろいんだからさ。